2016年06月24日

「現代の軍事戦略」 ランドパワー古典編 その1

もじゃもじゃです!

世界中の戦略家から絶賛される「現代の軍事戦略入門」(エリノア・スローン著 奥山真司、関根大介訳)
本書は、軍事戦略理論を古典から現代までをコンパクトにまとめており、軍事戦略の変遷を理解できる軍事戦略の入門書です。
なかなか知ることのできない、現代の戦略理論に重点が置かれている一方、基礎となった古典的理論にも、目配りされております。
本書をベースに軍事戦略への理解を深め、複雑な国際情勢を自分自身で考えられるようにしたいと思ってます。
また、本ブログをきっかけに一人でも、本書を含めた戦略理論書を手に取って頂き、平和や戦争への理解を一緒に深めてくれるとなお嬉しく思います。

さて、ランドパワー編では、通常戦(例えば、国と国との戦争)におけるランドパワーの戦略をご紹介します。
孫子、クラウゼヴィッツ、ジョミニ、リデルハートの古典的理論をご紹介した後、冷戦後の通常戦の戦略家として、アンドリュー・クレピネヴィッチ、ダグラス・マグレガー、ロバート・スケールズ等をご紹介します。

今回は、古典中の古典孫子と、孫子の戦略を現代に洗練させたリデルハートをご紹介。


■すべの戦いは敵を騙す行為である 孫子「兵法」
・中国春秋時代の思想家孫武の作とされる兵法書。
・「すべの戦いは敵を騙す行為である」欺騙と策略等の間接的アプローチを重視。
 作戦行動が可能でも不可能のように見せかけ、目的地に近づいていてもまだ遠くにいるように見せかける等々。
・軍事戦略の目的は、「天下を無傷のまま手に入れること」であり、理想的には「戦わずして敵を屈服させること」
・戦略レベルでは、敵のアプローチ全体を最初に攻撃せよ。
「軍事力の最高の運用法は、敵の策略を未然に打ち破ること。その次は敵国と友好国との同盟関係を断ち切ること。
最も劣るのは敵の城塞都市を攻撃することである。城塞都市を攻めるという方法は、他に手段がなくてやむを得ず行われるものだ。」
・戦争における精神的影響とリーダーシップの重要性を指摘。
「現代の軍事戦略」 ランドパワー古典編 その1


■間接的戦略 リデルハート
・第一次大戦に従軍したイギリスの戦略思想家。
・孫子に傾倒。孫子の通常戦の戦略思想を「間接的アプローチ」として、戦略・戦術レベルの両方で洗練させた。
・「軍事戦略の目的は、敵の抵抗の可能性を減らすことにある。」
 「たとえ決戦がゴールだとしても、戦略の目的は、この決戦を最も有利な状況下において生起させるというものである。その状況がわれにとって有利であればあるほど、それに比例して戦闘は少なくなる。」
・戦術レベルでは敵の抵抗の減少のために、運動と奇襲の利用が必要になってくる。運動は物理的な領域、奇襲は心理的な領域。
 二つの要素が互いに作用して、運動が奇襲をつくり、奇襲がまた運動を推進させる。
・「攪乱」物理的には敵の分断や、補給を危機に陥れたり、撤退経路を脅かすこと。
 心理的には、これら物理的効果によって司令官の頭の中に作られる印象。「しまった!」と感じさせること。
・物理的な要素と心理的な要素が合わさったとき、戦略ははじめて本物の「間接的アプローチ」、すなわち、敵のバランスの
 攪乱を狙ったアプローチとなる。
「現代の軍事戦略」 ランドパワー古典編 その1


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過去記事:シーパワー 古典編
過去記事:シーパワー 現代編






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Posted by もじゃもじゃ  at 11:29 │Comments(0)◎戦略関連現代の軍事戦略

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