2016年04月14日

「中国4.0 暴発する中華帝国」 その1

もじゃもじゃです!

さて、先日の「戦略論」に引き続き「最強の」戦略家ルトワック氏の最新作を紹介。
本書は日本の地政学者奥山真司氏がルトワック氏に行ったインタビューを元に構成されており、非常に読みやすい。
新書ということもあり、売れているようで、3月20日出版後、現在書店に並んでいるのは既に3刷である。

内容は2000年代からの中国の対外政策を、中国(チャイナ)1.0=平和的台頭、、中国2.0=対外強硬路線、中国3.0=選択的攻撃に
分類し、中国の今後の方向性(中国4.0)と日本の対応策について書かれている。
「自滅する中国」の続編にあたるが、それだけにとどまらずルトワックの「戦略論」を理解する入門書的な役割も果たしている。
また、最近の情勢も取り込まれており、インタビューが元ということで日本向けを意識した最新の中国論でもある。


まずは前提となる、2000年以降の中国の対外政策を簡潔にまとめてみると、

中国(チャイナ)1.0=平和的台頭→2000年以降リーマンショックまで
・国際秩序に従い、領海、経済ルール、金融取引等各種国際ルールに従いながら、発展。
・経済の発展と相まって、国際的にも受け入れられていた。

中国2.0=対外強硬路線→リーマンショック後
・リーマンショックをきっかけにアメリカの衰退が始まるや、対外強行路線に転じる。
・日本との尖閣を巡るトラブルをはじめ、インド、フィリピン、ベトナムとの領土問題が蒸し返される。
・結果として、反中同盟が徐々に結成されはじめる。

中国3.0=選択的攻撃→現在
・抵抗のないところには攻撃に出て、抵抗のあるところには攻撃しない。
・日本やインド等にはあからさまな行動には出ないが、フィリピンやミャンマーなど抵抗のない親中国で経済的・領土的問題を起こし、親中国をも遠ざける結果となっている。


なぜ、中国がリーマンショック後対外強硬路線に走り、世界中で反感を買い、アメリカをして決定的に中国を敵対視させ、日本の警戒感を増幅させるような国際情勢を作り出してしまったかについて
著者は3つの中国の錯誤をあげている。

①国力と経済力のずれ・・経済力が実際に国力(国際社会でのパワー)に反映されるまで、50年~100年のタイムラグがある。

②線的予測・・リーマンショック時のアメリカの衰退・中国の勃興傾向がそのまま続くという思い込み。

③大国は二国間関係をもてない・・中国は問題を当事国(主にアジアの小国)との2国間で解決したがる。
 しかし、中国を脅威と感じる他の大国が介入して来るため、実質的に2国間での関係は保てない。


19世紀半ばから日本等列強に支配されたうらみ「百年国恥」を、経済的・軍事的に力をつけ、アメリカが相対的に衰退の兆しを見せた時から、中国は3つの錯誤によって戦略を誤った。
では、著者が提案する「中国4.0」とはどのような戦略なのだろうか?
また、日本が取るべき対応とはどのようなものだろうか?

次回、その2に続きます!

「中国4.0 暴発する中華帝国」 その1






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Posted by もじゃもじゃ  at 12:00 │Comments(0)◎戦略関連

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