2016年09月09日
「現代の軍事戦略入門」 ゲリラ戦の理論 古典編
もじゃもじゃです!
「現代の軍事戦略入門」
(エリノア・スローン著 奥山真司、関根大介訳)
本書は、軍事戦略理論を古典から現代までコンパクトにまとめてお
り、軍事戦略の変遷を一般の読者でも理解できる入門書です。
なかなか知ることのできない、現代の戦略理論に重点が置かれてい
る一方、基礎となった古典的理論にも、目配りされております。
さて、今回は「ゲリラ戦の理論」の古典編。
タイトルは「ゲリラ」だが、実質的に内容は「非正規戦の理論」と
なります。
「非正規戦」とは、敵対する国家の組織的な軍隊同士による「通常戦」や「正規戦」ではない、ということ。少なくとも一方が「非国家主体」であることが前提となるタイプの戦いである。
非正規戦の理論の古典としてご紹介するのは、コールウェル、(ア
ラビア)のロレンス、毛沢東である。
■植民地戦争におけるクラウゼヴィッツ C.E.コールウェル
・英陸軍大佐。1880年代から1890年代にかけて、アフガニスタン、
クレタ島、南アフリカで実戦に参加。
・「小規模戦争:原則と実践」という著書で、非国家主体の敵との
戦いの一般法則を、正規軍(対反乱)の視点から、確立すべく試み
た。
・コールウェルの格言の多くは、「小規模戦争」の軍事作戦における多くの戦術レベルの要素、補給や情報に至るまで詳細に触れられており、時を超えて有益性が実証されてきた。
・しかし、反乱勢力を物理的に排除する手段に集中しすぎていた。
■反乱とローレンスの思想
・アラビアのロレンスとして有名な英陸軍士官。
・オスマン・トルコの支配に対するアラブ反乱(1916年~1918年)にアラブ側の遊牧民たちと行動を共にし、「知恵の七柱」という著書で反乱側からの視点でその実践と本質を書き残す。
・大きな特徴としては、敵の殲滅よりも現地住民の支援を重視していた。「活動的なのはたった2%だけだとしても、あとは行動を裏切らないよう黙って支持を与えてくれる友好的な住民の存在。」が必要だと書き残している。
「ある一地方の住民に自由という”我々の理想のために死ぬ”ことを教えることができれば、その地方をものにすることができよう。敵がいるかいないかは二次的な問題にすぎない。」
・また反乱勢力の参加者個々の重要性を特筆しており、彼らを集団として見るのではなく個々の人間として見るべきだとしている。
・戦術については、「軽打してすぐに逃げる(tip and run)」であるべきとし、最小規模の部隊を最も遠い場所で最も迅速に使用するべきだと主張。そして、戦術的には迅速でも、戦いそのものは長期にわたって続け、敵の消耗を通じて勝利を狙うべきだとしている。

■毛沢東の反乱についての思想
・中華人民共和国の建国者。「反乱側」の視点から、革命戦争の基礎文献「遊撃戦論」を著した。
・革命戦争とは、国内で発生し、武力によって政治権力を奪うことを意味している。
・革命戦争の3つの「段階」。国際的に、革命戦争の進行状態を示すのに使われている。
①隔離された地域で根拠地を確立し、そこの住民を革命戦争に参加するよう説得する。
②敵に対する限定的な武力行使。テロリズムやサボタージュの戦術使用を含む。
③ゲリラ部隊をより伝統的な軍隊組織へと変化させ、通常の戦闘によって敵軍と交戦できるようにする。
・住民からの支持を重視。「民衆は水でゲリラは魚であり、この魚は水の外では生きていけない。」
・実際の作戦に関しては、敵が進軍してくるときには撤退し、止まった時に嫌がらせを行い、敵が疲れたときに攻撃を行い、敵が撤退したときに追撃するという、孫子の影響を受けている。
・ロレンスと同じく数年に渡る長期持久戦を想定。「ゲリラ戦では”決戦”などというものは存在しない」
以上、次回は冷戦期の「対植民地・対反乱の理論」についてご紹介予定です。
本書をご紹介することで軍事戦略への理解を深め、複雑な国際情勢をマスコミ等に踊らされることなく、自身で考える一助にしたいと思ってます。
また、本ブログをきっかけに一人でも、本書を含めた戦略書を手に取って頂き、平和や戦争への理解を一緒に深めてくれるとなお嬉しく思います。
「現代の軍事戦略入門」
(エリノア・スローン著 奥山真司、関根大介訳)
本書は、軍事戦略理論を古典から現代までコンパクトにまとめてお
り、軍事戦略の変遷を一般の読者でも理解できる入門書です。
なかなか知ることのできない、現代の戦略理論に重点が置かれてい
る一方、基礎となった古典的理論にも、目配りされております。
さて、今回は「ゲリラ戦の理論」の古典編。
タイトルは「ゲリラ」だが、実質的に内容は「非正規戦の理論」と
なります。
「非正規戦」とは、敵対する国家の組織的な軍隊同士による「通常戦」や「正規戦」ではない、ということ。少なくとも一方が「非国家主体」であることが前提となるタイプの戦いである。
非正規戦の理論の古典としてご紹介するのは、コールウェル、(ア
ラビア)のロレンス、毛沢東である。
■植民地戦争におけるクラウゼヴィッツ C.E.コールウェル
・英陸軍大佐。1880年代から1890年代にかけて、アフガニスタン、
クレタ島、南アフリカで実戦に参加。
・「小規模戦争:原則と実践」という著書で、非国家主体の敵との
戦いの一般法則を、正規軍(対反乱)の視点から、確立すべく試み
た。
・コールウェルの格言の多くは、「小規模戦争」の軍事作戦における多くの戦術レベルの要素、補給や情報に至るまで詳細に触れられており、時を超えて有益性が実証されてきた。
・しかし、反乱勢力を物理的に排除する手段に集中しすぎていた。
■反乱とローレンスの思想
・アラビアのロレンスとして有名な英陸軍士官。
・オスマン・トルコの支配に対するアラブ反乱(1916年~1918年)にアラブ側の遊牧民たちと行動を共にし、「知恵の七柱」という著書で反乱側からの視点でその実践と本質を書き残す。
・大きな特徴としては、敵の殲滅よりも現地住民の支援を重視していた。「活動的なのはたった2%だけだとしても、あとは行動を裏切らないよう黙って支持を与えてくれる友好的な住民の存在。」が必要だと書き残している。
「ある一地方の住民に自由という”我々の理想のために死ぬ”ことを教えることができれば、その地方をものにすることができよう。敵がいるかいないかは二次的な問題にすぎない。」
・また反乱勢力の参加者個々の重要性を特筆しており、彼らを集団として見るのではなく個々の人間として見るべきだとしている。
・戦術については、「軽打してすぐに逃げる(tip and run)」であるべきとし、最小規模の部隊を最も遠い場所で最も迅速に使用するべきだと主張。そして、戦術的には迅速でも、戦いそのものは長期にわたって続け、敵の消耗を通じて勝利を狙うべきだとしている。

■毛沢東の反乱についての思想
・中華人民共和国の建国者。「反乱側」の視点から、革命戦争の基礎文献「遊撃戦論」を著した。
・革命戦争とは、国内で発生し、武力によって政治権力を奪うことを意味している。
・革命戦争の3つの「段階」。国際的に、革命戦争の進行状態を示すのに使われている。
①隔離された地域で根拠地を確立し、そこの住民を革命戦争に参加するよう説得する。
②敵に対する限定的な武力行使。テロリズムやサボタージュの戦術使用を含む。
③ゲリラ部隊をより伝統的な軍隊組織へと変化させ、通常の戦闘によって敵軍と交戦できるようにする。
・住民からの支持を重視。「民衆は水でゲリラは魚であり、この魚は水の外では生きていけない。」
・実際の作戦に関しては、敵が進軍してくるときには撤退し、止まった時に嫌がらせを行い、敵が疲れたときに攻撃を行い、敵が撤退したときに追撃するという、孫子の影響を受けている。
・ロレンスと同じく数年に渡る長期持久戦を想定。「ゲリラ戦では”決戦”などというものは存在しない」
以上、次回は冷戦期の「対植民地・対反乱の理論」についてご紹介予定です。
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