2016年04月26日
「中国4.0 暴発する中華帝国」 その2
さて、エドワード・ルトワック著 奥山真司訳 文春新書刊の「中国4.0 暴発する中華帝国」。
先日は「その1」として、2000年以降の中国の対外政策と、なぜ暴発したかの理由までをまとめた。
本日はルトワック氏が提案する日本がとるべき対応策(本書5章)についてご紹介したい。
もし、尖閣諸島が中国に占領されたとしたら、日本はどのような対応をとるべきだろうか?
封じ込め政策
中国は巨大な人口と経済力・軍事力を持つ大国である。
しかし、現状はアフリカの独裁的小国なみに不安定である。
不安定で先行きの予測ができない大国への対応としては、極めて受動的な「封じ込め」政策が有効である。
「封じ込め」とは、ひたすら相手に「反応」することに主眼を置く政策である。
もし尖閣を占領されたら⇒即時に反応
もし中国が尖閣を占領したとしたら、日本は「即時」に反応しなければならない。
(南シナ海のスプラトリー諸島で他国の島をとって基地を建設してしまうような)中国に対抗するため、島を占拠されたら、誰にも相談することなく奪還するメカニズムが不可欠である。
アメリカや国連に頼ったり、国会で議論などしてモタモタしていたら、ロシアにクリミア半島を奪われたウクライナの二の舞になる。
アフリカのフランス領マリをアルカイダに占領された際、フランスのオランド大統領は、電話1本で軍の進駐を命じた。
日本にもこのようなメカニズムが必要である。
もし尖閣を占領されたら⇒多元的な能力行使
多元的とは、日本の関係組織それぞれが、自律的に行動するということ。
各組織とは、海自・海保・陸自・空自そして、外務省も含まれる。
武力的実行力のある各組織は島の奪還作戦を、外務省はアメリカ、東南アジア、EU等に働きかけ、中国を尖閣から追い出す為の策を実施する。
たとえば、外務省はEUに働きかけ、中国の船の入管手続きを遅延させ、経済的打撃を与えるなどの手段がある。
もし尖閣を占領されたら⇒アメリカの支援
日本は即時的・多元的に行動しつつも、アメリカの支援を必要とする。
しかし、アメリカの公式な立場は「領土紛争では中立的立場を守る」というもの。
つまり、どのような支援をするかはアメリカ大統領の決断いかんであり、その決断はその時のアメリカの国内事情、米国民のムードによる。
アメリカは「日本の根幹としての統治機構システム」を守る意思と装備は持っている。
が、人が住まないような小さな島まで守るような想定はない。
日本が小さな島一つ自分で守れないのであれば、米側に過大な負担を与え、日米関係に悪影響を与える。
つまり、日本は島の奪還は自らの判断で自らの力で行わなければならない。
以上、今回は、日本の対応に的を絞って主に本書の第5章を中心にまとめた。
本書には他にも、習近平に関する考察、韓国が日本を恨む理由、国家が戦略を誤る理由、「大国は小国に勝てない」「海洋パワーとシーパワー」「戦略文化」など、本ブログでは触れてはいないが、刺激的な内容に満ちている。
また、「自滅する中国」と合わせて読むことで、戦略的に中国を理解することができるだろう。
6章では、本書のインタビューと訳を担当された地政学者・奥山氏が本書のエッセンスをまとめている。
本書の理解だけでなく、「戦略論」を含めたルトワック氏の理論の理解の一助になるので、お勧めである。
最後にタイトルにもなっている「中国4.0」なるルトワック氏が提案する中国の対外政策とはどのようなものか?
それは、皆さんが書店で本書を手にとって、ご自身で確かめられたい。

先日は「その1」として、2000年以降の中国の対外政策と、なぜ暴発したかの理由までをまとめた。
本日はルトワック氏が提案する日本がとるべき対応策(本書5章)についてご紹介したい。
もし、尖閣諸島が中国に占領されたとしたら、日本はどのような対応をとるべきだろうか?
封じ込め政策
中国は巨大な人口と経済力・軍事力を持つ大国である。
しかし、現状はアフリカの独裁的小国なみに不安定である。
不安定で先行きの予測ができない大国への対応としては、極めて受動的な「封じ込め」政策が有効である。
「封じ込め」とは、ひたすら相手に「反応」することに主眼を置く政策である。
もし尖閣を占領されたら⇒即時に反応
もし中国が尖閣を占領したとしたら、日本は「即時」に反応しなければならない。
(南シナ海のスプラトリー諸島で他国の島をとって基地を建設してしまうような)中国に対抗するため、島を占拠されたら、誰にも相談することなく奪還するメカニズムが不可欠である。
アメリカや国連に頼ったり、国会で議論などしてモタモタしていたら、ロシアにクリミア半島を奪われたウクライナの二の舞になる。
アフリカのフランス領マリをアルカイダに占領された際、フランスのオランド大統領は、電話1本で軍の進駐を命じた。
日本にもこのようなメカニズムが必要である。
もし尖閣を占領されたら⇒多元的な能力行使
多元的とは、日本の関係組織それぞれが、自律的に行動するということ。
各組織とは、海自・海保・陸自・空自そして、外務省も含まれる。
武力的実行力のある各組織は島の奪還作戦を、外務省はアメリカ、東南アジア、EU等に働きかけ、中国を尖閣から追い出す為の策を実施する。
たとえば、外務省はEUに働きかけ、中国の船の入管手続きを遅延させ、経済的打撃を与えるなどの手段がある。
もし尖閣を占領されたら⇒アメリカの支援
日本は即時的・多元的に行動しつつも、アメリカの支援を必要とする。
しかし、アメリカの公式な立場は「領土紛争では中立的立場を守る」というもの。
つまり、どのような支援をするかはアメリカ大統領の決断いかんであり、その決断はその時のアメリカの国内事情、米国民のムードによる。
アメリカは「日本の根幹としての統治機構システム」を守る意思と装備は持っている。
が、人が住まないような小さな島まで守るような想定はない。
日本が小さな島一つ自分で守れないのであれば、米側に過大な負担を与え、日米関係に悪影響を与える。
つまり、日本は島の奪還は自らの判断で自らの力で行わなければならない。
以上、今回は、日本の対応に的を絞って主に本書の第5章を中心にまとめた。
本書には他にも、習近平に関する考察、韓国が日本を恨む理由、国家が戦略を誤る理由、「大国は小国に勝てない」「海洋パワーとシーパワー」「戦略文化」など、本ブログでは触れてはいないが、刺激的な内容に満ちている。
また、「自滅する中国」と合わせて読むことで、戦略的に中国を理解することができるだろう。
6章では、本書のインタビューと訳を担当された地政学者・奥山氏が本書のエッセンスをまとめている。
本書の理解だけでなく、「戦略論」を含めたルトワック氏の理論の理解の一助になるので、お勧めである。
最後にタイトルにもなっている「中国4.0」なるルトワック氏が提案する中国の対外政策とはどのようなものか?
それは、皆さんが書店で本書を手にとって、ご自身で確かめられたい。

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