2016年07月22日

「現代の軍事戦略」エアパワー古典編

もじゃもじゃです!

「現代の軍事戦略入門」
(エリノア・スローン著 奥山真司、関根大介訳)
本書は、軍事戦略理論を古典から現代までコンパクトにまとめており、軍事戦略の変遷を一般の読者でも理解できる入門書です。
なかなか知ることのできない、現代の戦略理論に重点が置かれている一方、基礎となった古典的理論にも、目配りされております。

今回は、本書よりエアパワー古典編として、ドゥーエの戦略思想をご紹介します。

■空だけで勝利!? ドゥーエ
・ジュリオ・ドゥーエは1920年代のイタリア陸軍の将軍。
・エアパワー登場初期から「エアパワー単独で戦争に勝てる」という考え方を提唱。独立空軍の創設を訴えた。
・エアパワーは、陸軍や海軍のように地形や海岸線等の影響を受けることなく、自由に行動が可能であり、地上に兵士を送り込む
 ことなく(自軍の犠牲者を出さずに)戦闘が可能であると主張。その思想は、当初から身内のイタリア陸軍内はじめ各所で議論を巻き起こした。

・代表的著書「制空」
 ①「制空」における第一の要則
  「戦闘行為の勝利は制空を達成することに絶対的に依存している。」
  制空とは敵の飛行を阻止しながら、自分たちは飛べる状態にあること。現代では「航空優勢」と呼ぶべきもの。
  制空権を獲得している側は自国を完全に守ることが可能、一方獲得していない側は人間の創造を絶するような攻撃にさらされることになる。
 ②「制空」における第二の要則
  制空のためには、敵の航空兵力を地上から飛び立たぬうちに破壊したり、航空兵力の装備や物資を供給する企業や工場を爆破すべきである。
 ③「制空」における第三の要則
  敵の重心は「国民」である。航空勢力により、敵国民を爆撃し、パニックに陥れ、精神力を喪失させ、それによって敵政府に対する反乱を引き起こし、戦争を終わらせることができる。ドゥーエはその為には、毒ガスを使うことも主張した。

■ドゥーエの誤り
・ドゥーエの理論の多くは、第二次大戦によって誤りが証明されてしまった。
・レーダーや対空兵器の登場により、航空機は自由に行動できるものではなくなった。
・ドイツのロンドン空襲において、イギリスの民間人は忍耐力を見せた。空襲により、人々の怒りは自国の政府ではなく、敵であるドイツに向けられた。

■それでもドゥーエ
・実戦によって誤りは証明されてしまったが、それでも現代でも通じる議論のカテゴリーや注目すべき要点を作ったという意味でドゥーエの戦略思想は重要である。
・そして、冷戦後の10年間にドゥーエの「エアパワー単独で戦争に勝てる」という理論を証明するような大規模な紛争が発生した。

果たして、ドゥーエの理論は誤りだったのか、それとも現代のテクノロジーによって、ようやく正しさが証明されたのか?
冷戦後の理論については、次回ご紹介する。

アマゾンで買えるドゥーエの著作「戦略論体系(6)ドゥーエ」


Art by Chris Foss







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Posted by もじゃもじゃ  at 11:28 │Comments(0)◎戦略関連現代の軍事戦略

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